みなさんは、民族音楽と聞くとまずどんな音楽が思い出されるでしょうか?
最近では民族音楽と呼ばずに『ワールド・ミュージック』という呼び名が定着しているようですが、私はあえて民族音楽という呼び名の方がしっくりくる感じがいたします。
本日の売れない本の話は昨日に引き続いて民族音楽の話です。さて、前回までのあらすじは私がおかしなトーテムポールを作成して悪魔祓いをするまでお話しましたが、今日はその悪魔が再び甦って善良な村人たちを地獄に突き落とすまでのお話。
私がバラフォンの魔力から逃れたのち、近所の商店街で福引がありました。私はお惣菜と本を買ったらついてきた福引券5枚を握り締め、弛緩しきった面持ちでガラガラを回しました。
ところが、ガラリと回した途端、金の玉が出てきました。
なんと1等賞が出てしまったのです!1等賞の商品は3泊4日香港の旅です。
さっそくパスポートを申請して香港旅行の旅に出ましたが、香港の醍醐味はなんといっても道教の国ですから琵琶や楊琴、二胡の演奏は非常に洗練されたものがあります。私は現地でウイグルの胴に蛇革が張られた三線と二胡を買いました。バラフォン時代にはピグミーの音楽が好きでしたが、興味がアジアの方に移ってまいりますと、ベトナムのセダン族の地琴や1920年代の雅楽、田辺尚雄が採集した台湾のタイヤル族の首切笛演奏、ミクロネシアのトラック島の鼻笛演奏や世界各国の口琴の音、エスキモーの歌唱法、韓国のシャーマン音楽に夢中になりました。どれも音がボロボロでお世辞にも録音状況はいいとは言えません。
ですが、曲ではない音がそこには渦まいているようで私は回り続けるレコードの前でうっとりする日々を過ごしていたのです。
さて、本日の売れない本はそうしたアジアの伝統音楽を豊富な図版とともに紹介した大著です。ただし英文なのがちょっと残念ではあります。
監修は民族音楽の旅する権威、小泉文夫、徳丸吉彦、山口修のお三方。
本書は主にインドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、日本の楽器で構成されています。
表紙からもうかがえるとおり、東南アジアはもちろんのこと、非常に珍しい日本の楽器も写真入で紹介されています。
梓弓の演奏方法、奈良の神前楽器である二弦琴の八雲琴、信州跡部に伝わる踊り念仏のときに使用する鐘、荒神琵琶、フィリピンのミンダナオ島の口琴クビン、インドネシアの二胡レバーブ、タイの三弦ツィターのチャケー、フィリピンの竹楽器ビリンバウ、同じくフィリピンの鼻笛トンガリ、今ではだいぶメジャーになったアイヌの口琴ムックリなどなどが基本音階付き、楽器の寸法図付きで紹介されています。
巻末には76年にナショナルシアターで開催された音楽祭の曲目を採譜したものが載っています。
ですからその楽器を手に入れれば同じ曲が演奏できるというわけです。
音楽はもしかしたらこうして本を買って読むものではなくて、ただただ聞いたり、ひたすら演奏したりするものなのかもしれません。
身体や心で潜んでいるものなんかを押し込んだり、引っ張り出したり、時に応じて私たちはいろんなことをしているのだろうなぁ、とこうした本を紹介することの野暮ったさを最近いつも感じているのです。
野暮と矛盾がいっしょになっているような、私はこうした音楽に触れるたび、更なる自分の訳のわからなさを自覚します。
みなさんは好きな音楽に触れるとどうなるか、その音楽を聴かずに今度ゆっくり考えてみてはいかがでしょう?
普段音楽が自分のどこで鳴っているかが聴こえるかもしれませんから。
売れない度 82%
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